ほぼピュアR6RSで書かれたライブラリでindustriaというものがある。驚嘆するほどでかい上に、Sagittariusのお株の一つである暗号処理がサポートされている。(別にライブラリの宣伝をしたいわけではない)
このライブラリ内で使われているマクロが動かないというバグレポートを受けた。最初はmake-variable-transformerが参照している環境が違うだけかと思ったのだが、実は裏にもう一つ潜んでいた。こっちは非常に厄介な、しかもずっと悩んでいる問題の一つ。端的に問題を顕在化させるコードが以下;
(import (rnrs)) (define-syntax foo (lambda (x) (syntax-case x () ((_) (with-syntax ((set #'(bytevector-u8-ref bv 0))) #'(let ((bv (make-bytevector 1))) set bv)))))) (foo)with-syntaxで作られた新しいパターン変数(ということにしている)内にあるbvと最終的に返される構文内で使われているbvが同じでなければならないという問題。
これはSagittariusではうまく動かない。なぜかという原因も分かっていて、最初のbvと2回目のbvは使用される環境(正確には違うけど便宜上こう呼ぶ) が違うから。これと類似の問題に、R6RSテストスイーツのbreakがあるが、あれはwith-syntax上ですでにパターン変数として作られているので、なんとか識別する。
これの本質的な問題は、
syntax
構文が同一環境で呼ばれても同一の識別子を返さないことにある。本来ならば、最初と2回目は同一の環境なので、どちらのbvも同じ名前にリネームされるから最終的な形としては問題なく動くようになる、はずなのだけど、そうは問屋がおろさないので困っている。解決策としては2つあると思っていて、一つは王道、識別子にリネームされた際の環境、フェーズその他もろもろの情報を付加してやり、identifier=?はそれらをまじめに比較するようにする。二つ目は邪道(というか、スパゲッティ生成法)、マクロ作成時に作られる環境にフィールドを一つ追加して、何が何にリネームされたかということ保持しておき、それを環境が拡張されるても共有する。
正直、どちらの方法もかなり大掛かりな変更が必要になる。やりたくないが、バグとして報告された以上なんとかしないわけにもいくまい・・・
ってか、これってR6RSで動くって保障されてるのかな?されてるよなぁ・・・
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