SRFI-35は例外を、SRFI-36はI/O例外を規定するSRFIです。ここで言う例外とは例外オブジェクトのことです。例外はR6RSに取り入れられ、R7RSで取り除かれたという悲しい歴史を持ちます。
R6RSで定めている例外とほぼ同じなのですが、
condition
がマクロだったり検査用の手続きがあったりと多少趣が違います。以下はSRFI-35で定められているものの一部です。
(define c (condition (&serious) (&message (message "message of this condition")))) (condition? c) ;; -> #t (condition-ref c 'message) ;; -> "message of this condition" (extract-condition c &serious) ;; -> instance of serious condition (condition-has-type? c &message) ;; -> #tSRFI-36はSRFI-35を元にしてI/O例外を定めています。R6RSに慣れ親しんでいる方であればいくつかの例外には見覚えがあるでしょう。
&i/o-malformed-filename-error
などR6RSには採用されなかった例外もあります。また、SRFI-36では標準の手続きがどの例外を投げるべきかということも定めています。例えば、
call-with-input-file
は&i/o-filename-error
もしくはそのサブタイプの例外を投げなければならないとしています。ちなみに、これらのSRFIはSRFI-34と同時に例外に関するSRFIとして出されたみたいです(参考)。さらにSRFI-35の議論で慣例的に例外型の名前に付けられる
&
の説明もあったりと、歴史的経緯を眺めるのも面白いです。 個人的にはこれらのSRFIはR7RSに入るべきだったと思うのですが、まぁ、世の中そう上手く行かないものです。(R7RSをR5RS処理系がR8RSに移行する際の緩衝材的な位置づけとみれば*1納得できなくもないのですが、それはそれでどうかなぁとも思ったり…)
今回はSRFI-35/36を紹介しました。
*1: R7RSにそれとなくそんな感じの文言があったりします(深読みしすぎ)
However, most existing R5RS implementations (even excluding those which are essentially unmaintained) did not adopt R6RS, or adopted only selected parts of it.
No comments:
Post a Comment