Syntax highlighter

2014-05-11

プロのプログラマ

Twitterで「本物のプロのプログラマは数学に精通している」みたいなのを見かけてもやもやしているのでちょっと吐き出すことにした。

そもそも、プロとアマの差というのはあることに対しての対価をもらっているかいないかだと思うのでそもそもの言葉の定義からおかしいという話もあるのだが、とりあえずそれはおいておくとしよう。個人的にはそれがたとえコピペでプログラムを書いてても、それに対しての対価をもらっているのであればプロのプログラマである。品質に対する気概とか、自分の作ったものに対する何かしらとかはどちらかと言えば職人気質に分類されるべきで、プロとアマの差というのに使われるべきではないと思う。

おそらくTwitterでの意図としては「凄腕のプログラマ」くらいの意味だろう。では何をもって「凄腕のプログラマ」とするのか?これはいろいろ議論があるだろうが、まず第一に挙がるのは「問題解決力」、次に「抽象化能力」じゃないだろうか?仮にこれらを持つプログラマを凄腕のプログラマとするならば、そのプログラマは数学に精通している必要があるのだろうか?例えば暗号分野に特化しているのであれば、三角関数とかはあまり必要ない気がする。(僕の経験上でしかないので本当に必要ないかはちょっと微妙。) ついでに言えば、自分が知っている限りの範囲でしかないが、凄腕と呼べるプログラマは引き出しが多いイメージである。ここでいう引き出しが広いとは、あることに対しての解決策の「名前」を知っている、という意味である。

例えば(自分の分野で申し訳ないのだが)、パスワードの保存をセキュアにしたい、という要望があったとする。そうすると「暗号化」がまず出てくる。どのように暗号化するかといえば、「秘密鍵」が出てくるだろう。「公開鍵」ではセキュアではないからだ*1。どの方式がいいかはまぁ後で調べればいいだろう。次に出てくるのは「ハッシュ」を使う方式だろう。ただし、ハッシュにする場合はパスワードを再送するというのは諦める必要がある。ハッシュ方式は「SHA-256」が一応安全か。

これぐらいの引き出しがあれば「実装の中身」までは特に知らなくてもなんとかなる。(暗号分野では大体自分で実装するっていうのはありえないので。) この程度では凄腕とはいえないが、言いたいこととしてはこれだけあれば調べ方が分かるので解決できる。抽象化はまぁその先にあるのでここで上げるのは多少厳しい。で、数学の話は出てきただろうか?

何がいいたいかといえば、プログラマが必要な知識は問題領域に大きく依存するということである。(数学が必要なところってとりあえずゲーム関連しか知らないのだけど、他にもあるの?) そして、その問題領域に精通していれば「凄腕」になる資質は十分にある。他の分野も知っているにこしたことはないが、「必須」ではない。自分の理想像のみを指して「本物のプロのプログラマ*2」といわれると、世の中のプロのプログラマの門を極端に狭くするのでいかがなものか、という話である*3

*1 暗号化でセキュアとは基本的に総当り以外の解き方がないこと+暗号文に平文の情報がないことの2点である。公開鍵方式は後者が満たされないという話。
*2 そもそも「偽者のプロのプログラマ」というのがあるのか?という話でもあるが・・・プログラム書いて金もらってりゃ本物のプロだよ、という理論の前だとないので・・・
*3 自分が数学に精通してないのでというのがこれ書いた最も大きな理由だわね。一応金もらってやってるプロだし、それなりにプライドもあるのでちょっとムカっとしたのさ・・・

2 comments:

Shiro Kawai said...

「数学に精通してる」って言ってる人の考えてる「数学」が何かってのも謎ですな。

kei said...

数学も範囲が広いですからねぇ、圏論とかだとHaskellで使われてるので「まぁ納得」とはなるのですが。

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