Let's start Scheme

2014-07-30

Industriaのテスト

IndustriaというR6RS Scheme用のポータブルなライブラリをご存知だろうか?Göran Weinholt氏が作成しているライブラリで、暗号器からX86のアセンブラまであるという巨大なライブラリである。(GitHubで最後にコミットがあったのが去年の8月なのでひょっとしたら開発が停止しているかもしれない。)リポジトリのweinholt/netディレクトリの中にあるtcp.slsからサポートしている、もしくは検討された処理系を知ることができる。以下がそのリスト。
  • Chez
  • Guile
  • ikarus
  • IronScheme
  • Larceny
  • Mosh
  • mzscheme (Racket)
  • Sagittarius
  • vicare (ikarusの後継)
  • Ypsilon
Biwa Schemeを除いたr6rs.orgに挙げられている処理系のリストほぼそのままである。可搬性のない部分のみをうまく切り出して、あとはR6RSの仕様どおりに書かれているということであろう。

以前このライブラリで定義されているマクロがうまく動かないことがあったこともあり、マクロ展開器のバグを直すたびくらいにテストを走らせていたのだが、ふと他の処理系ではどうなのかと思い試してみた。依存しているSRFIとCygwinという関係上、テストを走らせることが出来たのは以下の3つ。
  • Sagittarius (0.5.7 HEAD)
  • Mosh (0.2.7)
  • Racket (6.0.1 Windows x86_64)
GitHubのIssueに挙げたのだが、weinholt/assembler/x86.slsにあるfind-instruction-encoding手続きで定義されているbailoutが0引数で呼ばれている箇所があるため、直してやる必要がある。(でないとSagittariusはコンパイルエラーを挙げる。)毎回コマンドを叩くのもあほらしいので以下のようなスクリプトを用意した。
#!/bin/sh

usage() {
    echo "run-test.sh CONFIG"
    echo " CONFIG argument must be a shell script file"
    echo " contains $program and $load_flag"
}

if [ -f $1 ]; then
    . `pwd`/$1
    if [ "$?" != "0" ]; then
 echo "source command failed"
 exit -1
    fi
else
    usage;
    exit -1
fi

load_path=`pwd`

init $load_path

cd tests
for f in *.sps
do
    echo "Testing $f"
# hack for Windows racket...
    temp_file=$f.tmp.scm
    echo -n ';;' | cat - $f >  $temp_file
    echo "$program $load_flag $f"
    "$program" $load_flag $temp_file
    rm $temp_file
done
っで、以下の設定ファイルをそれぞれ用意。
# sash.conf
#!/bin/sh
# -*- mode:shell; coding:utf-8; -*-

program=/opt/bin/sash
load_flag=

init() {
load_flag=-L$1
}

# mosh.conf
#!/bin/sh
# -*- mode:shell; coding:utf-8; -*-

program=mosh
load_flag=

init() {
    load_flag='--loadpath='$1
}

# racket.conf
#!/bin/sh
# -*- mode:shell; coding:utf-8; -*-

program='/cygdrive/c/Program Files/Racket/plt-r6rs'
load_flag=

init() {
    load_flag="++path ../"
}
後は以下のようなコマンドで走らせる。
$ ./run-tests.sh sash.conf
テストを走らせた結果、意外にもSagittariusだけが全てのテストをパスするということが起きた。(これを書きたかった。)

Moshはpsyntaxのエラーがあったり、行末文字に起因すると思われるエラーがあったりでいくつかのテストが失敗する。またSRFI-25をサポートしていないのでライブラリがないというエラーも見受けられた。NMoshで走らせた場合はマクロ展開に起因するエラーは発生しないものの、通常のMoshと同様のエラーは発生する。

Racketは恐らく行末文字に起因するエラーが一つといくつかのテストが走ることさえなく落ちていくという現象が起きていた。

また、テスト完了までの時間もSagittariusが最速であった。以下がtimeコマンドを用いたテストケースの起動結果。(Cygwin 32 bit on Windows 7 64 bit Core 7i)
% time ./run-tests.sh sash.conf > sash.log 2>&1              [~/work/industria]
./run-tests.sh sash.conf > sash.log 2>&1  68.94s user 6.14s system 103% cpu 1:12.23 total

% time ./run-tests.sh mosh.conf > mosh.log 2>&1              [~/work/industria]
./run-tests.sh mosh.conf > mosh.log 2>&1  111.95s user 2.98s system 99% cpu 1:55.56 total

% time ./run-tests.sh racket.conf > racket.log 2>&1          [~/work/industria]
./run-tests.sh racket.conf > racket.log 2>&1  0.21s user 0.71s system 0% cpu 5:56.48 total
以外なのはRacketが5倍近く遅かったことである。

この結果を受けて着実に使える処理系になっていっているということと勝手に解釈することにする。

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