構文
プログラムの構成が分かったところで基本的な構文を示す。ライブラリとマクロ*1については後ほどやるので、それらは除外されている。また、Schemeでは変数を定義することを束縛*2、変数に値を入れることを代入という。単なる言葉尻を捕らえているように思うかもしれないが我慢してほしい。さらに、トップレベルという言葉も出てくるが、これは束縛を作る構文を外側に含まない式(内側にふ含んでもよい)と思ってもらえばよい。
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プログラムを書く上でもっとも重要な構文の一つはコメントである。Schemeでは3種類のコメントが用意されている。
; 一行コメント。行末までをコメントにする。 #;("式コメント" "括弧に囲まれた式一つをコメントにする。" "式であれば、改行を含んでもよい") #| ブロックコメント。 開始マーク #| から終了マーク |# までをコメントにする。 上記のように入れ子になっていてもよい。 |#
束縛を作る構文:define、let、let*、letrec、letrec*
define
はトップレベルで出てくる場合は大域に束縛をつくり、let
等の局所変数を束縛する構文内に出てくる場合は局所変数を束縛する。define
は以下の3つのフォームのいずれかを取る。(define <variable> <expression>)
(define (<variable> <formals>) <body>)
(define (<variable> . <formals>) <body>)
;; 値123をシンボルfooに束縛する。 ;; (シンボルfooは変数fooと読み替えてよい) (define foo 123) ;; 3引数を取る手続きbarを定義する。 (define (bar a b c) (+ a b c)) ;; 上記は以下の糖衣構文でもある ;; lambdaについては手続きを作る構文参照 (define bar (lambda (a b c) (+ a b c))) ;; 可変長引数を受け取る手続きbuzを定義する。 (define (buz . rest) (apply + rest)) ;; 上記は以下の糖衣構文でもある (define bar (lambda rest (apply + rest)))
let
、let*
、letrec
、letrec*
は局所変数を束縛する構文である。いくつかのバリエーションがあるがそれぞれ意味が違うので注意されたい。用例ではもっともよく使われるlet
とlet*
を示し、letrec
とletrec*
については都度示すこととする。let
系の構文は以下のフォームを取る。(let <bindings> <body>)
(let* <bindings> <body>)
(letrec <bindings> <body>)
(letrec* <bindings> <body>)
((<variable> <expression>) ...)
...
は直前の式をn回繰り返してもよいという意味である(nは0でもよい)。例:
;; 値0をシンボルaに、値1をシンボルbに束縛する。 ;; (局所変数a、bを定義する) (let ((a 0) (b 1)) (+ a b)) ;; 以下はエラー ;; letは先に定義された束縛を参照できない。 (let ((a 0) (b (+ a 1))) (+ a b)) ;; 値0をシンボルaに、値1をシンボルbに束縛する。 ;; (局所変数a、bを定義する) (let* ((a 0) (b 1)) (+ a b)) ;; let*は先に定義された束縛を参照可能。 (let ((a 0) (b (+ a 1))) (+ a b))
コラム:
また
let
とlet*
let
は局所変数を束縛する構文ではあるが、lambda
の糖衣構文でもある。処理系によってはletを以下のように扱うものもある。
(let ((a 0) (b 1)) (+ a b)) ;; -> ((lambda (a b) (+ a b)) 0 1)これであれば、同じ<bindings>で定義された変数が参照不可能なのが理解できる。
また
let*
は入れ子になったlet
をまとめたものである。
(let* ((a 0) (b 1)) (+ a b)) #| (let ((a 0)) (let ((b 1)) (+ a b))) |#
手続きを作る構文:lambda
暗黙の内に手続きを作るには
define
が使えるが、明示的に手続きを作るには前回やったようにlambda
を使う。 なぜlambda
というキーワードなのかというのは歴史的な理由があるのだが、それは割愛させてほしい*3。lambda
構文は以下のフォームを取る。(lambda <formals> <body> ...)
(<variable1> ...)
<variable>
(<variable1> ... <variable n> . <variable n+1>)
;; 3つの引数を受け取る ((lambda (a b c) (+ a b c)) 1 2 3) ;; -> 6 ;; 可変長引数を受け取る ((lambda args args) 1 2 3) ;; -> (1 2 3) ;; 2つの引数を要求し、残りはリストにする ((lambda (a b . c) c) 1 2 3 4 5) ;; -> (3 4 5)可変長引数がリストで渡されて何がうれしいのかということはもう少し後でやることにするので、しばらくは引数のリストは明示的に与えることとする*4。
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